いきなりですが皆さん、小説家と呼ばれる職業の人がどれくらい稼いでいるのか興味はありませんか？
例えば、第153回芥川賞に自身初の長編小説となる『火花』で受賞を果たした、お笑い芸人の又吉直樹氏。
そんな『火花』は300万部を越す大ベストセラーとなりました。
もはや又吉さんではなく、又吉先生ですね。
さて今回は、そんな小説家のお金事情に切り込んでいきたいと思います。
目次
閉じるまず、当然ながら売れる本を執筆しなければ高年収は得られません。
そして出版社側から売れる見込みがないと判断されると依頼が減ってしまい、最悪契約を打ち切られます。
また、印税が大きいとされているのは小説と絵本を出版している作家です。
作家の年収は、ずばり200万円～400万円が平均のようです。
年収1000万円以上の売れっ子作家でもなければ、年収200万円、300万円にも満たないという人が多数のようで、生活は厳しい部分もあるそうです。
小説家の収入は大きく分けて下記のようになります。
原稿料とは雑誌の連載などに対して支払われる報酬のことであり、一般的に原稿用紙1枚が単位となっています。
1枚あたりでおおよそ2,000円位から5,000円くらいが平均的なのですが、作家の人気と実力次第で契約の金額は決められます。
大ヒットが期待されているような売れっ子作家であれば、1枚あたり数万円の原稿料になることもあるようです。
第153回芥川賞を受賞した羽田圭介氏はデビュー直後の原稿料は400字で300円。
経験を積み受賞前には4000円近くまで上がって、受賞後には5,000円近くにまでなったようです。
例えば小説の文芸誌連載が月枚数100枚であったとしても、月収は50万円です。
実力派の羽田氏でもこの金額なのですから、小説家の厳しい現状がうかがえます。
印税とは出版された本1冊に対する収入です。
売上のおおよその10%程度ですが、新人の場合は8%など出版社との契約次第で上下するようです。
「小説家」としての本収入がこの印税収入なので、実力勝負の厳しい世界ですね。
仮に1冊1,000円の本を印税10％として得られる収入は、100万部で1億円という計算になりますよね。
又吉氏の芥川賞受賞作「火花」など話題性の高い作品や売れっ子作家なら初版で数万部ということもあるでしょうが、大抵の小説家は初版2,000部から数千部程度から始まります。
それからヒット次第で段階的に増刷となるのですが、売れない場合は絶版となります。
仮に初版2000部しか売り上げなかった場合は、印税収入は30万円程度という計算です。
サラリーマン程度の収入（年収400万円）を得ようと思えば、年間に3万部は売らなくてはなりません。
3万部というとそう難しくない数字に思われるかもしれませんが、出版不況が叫ばれる中、数万部を継続的に売り上げることはかなり難しくなっています。
また、小説を年に何本も執筆することは現実的でなく、相当のヒットを出さない限りは印税で高年収を得ることは難しいでしょう。
最近はハードカバーの何年後に文庫本が出版されることが増えています。
文庫本とは本を小さく簡素にして廉価に販売されるもので、不況の影響なのかハードカバーよりも需要があり、作家にとっては新しい収入源として重要な出版物になっています。
新人作家の場合、一般的に初版1,000部～2,000部とされています。
1,000円の本が1,000部出版されて、印税が10％の場合10万円となります。
小説を執筆する労力と時間を考えますと、この金額は決して高いとは言えないでしょう。
小説家は稼いでいくには難しい職業ですが、国内と海外でどのくらいの差があるのか？
この章では上位3位までを紹介したいと思います。
（ドライバータイムズ 小説家の年収・ランキングTOP3｜平均/日本/海外/売れっ子https://driver-times.com/driver_work/driver_biz/1058000）から引用
宮部みゆきさんの年収は数億円だと誠しやかに囁かれています。
宮部さんの代表作は「ソロモンの偽証」「小暮写眞館」「模倣犯」「杉村三郎シリーズ」「悲嘆の門」などがあります。
村上春樹さんは年に1,000万冊を売上げがあったとされ、人気作の上下巻を合わせて28億円の売上があります。
年収は公開されておりませんが、印税だけでも100億円を軽く超えていると推定されていますので、100億÷37年＝年収2億7千万という計算が成り立ちます。
村上さんの代表作は「ノルウェイの森」「羊をめぐる冒険」「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」「ダンス・ダンス・ダンス」「IQ84」などです。
堂々の1位は、言わずと知れた売れっ子作家の東野圭吾さんです。
東野さんの平均年収は25億円～30億円と言われ、一日に100万円も納税していることになります。
東野さんの代表作は、「マスカレード・ホテル」「白夜行」「虚ろな十字架」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」「手紙」「秘密」「さまよう刃」「流星の絆」「赤い指」「容疑者Xの献身」などが上げられます。
では、どういった風に小説家の年収が決められているのでしょうか？
この章では年収の高い人の条件・スキル・特徴を語っていきたいと思います。
言ってしまえば、小説家とは文章を書く職業です。
特に作家に不可欠な要素は「語彙力」でしょう。
語彙とはある言語範囲内での単語の総称であり、要するに語彙力とはどれくらいの単語と言葉を知っているかという力になります。
語彙力は、物書きには大切です。
小説を執筆するのに語彙力が伴っていない場合、どうしても稚拙な文章に見えてしまいます。
そうするとせっかくの傑作を書いていても説得力が半減してしまって、大変にもったいない気がしますよね。
打って変わって、語彙力のある物語は表現も豊かで作品に深みが出ます。
語彙力を培うためには、小説を読むのが重要です。
語彙力という点で見れば、世に出ている小説家は一般人では到底及ばない領域にまで到達しています。
速読するのではなく、一つ一つの文章の意味を考えながら読むと良いかもしれませんね。
読んでいて分からない単語が出てきたら、スマホで検索したり類語辞典を引いたりして、ぜひ言葉を身につけましょう。
知識と簡単に言っても、漠然とし過ぎていますね。
噛み砕いて言うと、知識とは小説に関する知識ということではなく、世の中における様々な知識・知見のことを言います。
つまり、博識であるということが小説家としては武器になるのです。
小説の大多数の作品がフィクションでありますが、書き手はイマジネーションだけで物語を紡ぐことはできません。
これまでの人生で体験してきたこと、その経験から得た知識をイマジネーションの中に落とし込んで物語を書き上げます。
例えば、野球未経験者に本格的な野球の小説を書けというのはなかなかの無理難題ですよね。
知識不足によって誤謬の情報や非常識なことを書いてしまわないためにも、普段から知識を蓄積する意識を持っていましょう。
これに関しても、読書という方法が1番身近で有意義なように感じます。
創作とは何かを表現したものです。
創作者の表現力次第で作品の出来が決まると言っても過言ではありません。
表現の豊富な小説というのは面白いですし、感情移入などもしやすいはずです。
文体に魅了されて物語にどんどん引きこまれてしまうなんていうこともあるのではないでしょうか。
表現力は才能というイメージも強いかもしれませんが、これも様々な小説を読むことで身につくものです。
例えば小説の最も主流な表現方法である比喩などは、上手い小説家の表現を真似ることで、使う感覚やタイミングがつかめてきたりもします。
誰しも最初は真似から始めるものです。
小説に限らない話ですが、物語において構成というのは肝心の骨組みと言えるものです。
構成がめちゃくちゃで因果関係も狂っていたりする小説は、途中で本を置いてしまいたくなります。
しかし、構成がしっかりしているとどういうわけかスラスラと読み進められますよね。
そして、そこに驚く展開がいくつも詰め込まれていたとすれば、読者は更に小説に夢中になっていくはずです。
構成力とは小説の核であり、基本中の基本だと思われます。
小説を読んでいて、文章を通して作者の意図や主義主張が妙に伝わってくるようなことってありますよね？
小説家には、自分自身の中に独自の哲学を持っているという人が多いようです。
そして、折に触れてその哲学を作品の中で訴えたり、隠されたテーマのようにすることもあります。
作者が語りかける哲学は作品を印象づけたり、また物語に深みを持たせてくれます。
哲学を持てと言われて持てるものでもありませんが、自分が考えていることや信じていることをまず言語化し、それを象徴的・抽象的に作品に反映できると、プロの作品にかなり近づくのではないでしょうか。
極論、読者に伝わらなければ小説としては三流です。
文章だけでどれだけ読者に気持ちや感情を伝えられるかが、年収に関わってくる重要な鍵になることでしょう。
一口に小説と言っても、様々なジャンルがあります。
この章では、それらに加え他の職業の年収とも比較してみましょう。
純文学を執筆している小説家は、トップクラスであれば年収は億単位稼げますが、実際は200万円～400万円ほどになるようです。
ライトノベル作家は、年収が小説発行する間隔や部数にもよりますが、基本的に新人は一冊出版するごとに50万円～100万円になります。
年収に換算すると約240万円～360万円なので、高年収とは言い難いです。
それでも一時、有名なラノベ作家である神坂一氏が長者番付にランクインしていました。
また、文章力の高い作家では、乙一氏や西尾維新氏は高年収だと噂されています
当然ですが、どの職業もトップは高収入になる構造ですね。
特に作家という職業はそれが顕著に表れている気がします。
これは私の個人的な所感ですが、今の時代、お金を稼ぎたいから小説家になるという人はごく少数だと思います。
筆一本で食べていくのは並大抵な覚悟では務まりません。
最近流行りの稼げる職業で言えばYouTuberなどもありますし、お堅いところでIT関係もあるでしょう。
しかし、こんな多種多様の職業がある時代だからこそ、文章で表現したいと思う人がいても良いと思います。
1番大切なことは、自分が本当に書きたいものを書くということでしょう。
小説家の年収について、ご理解いただけましたでしょうか？
最後まで読んでいただいたあなたは、小説が大変お好きな方だと邪推します。
かく言う私も、小説が好きです。
そんな皆さんと繋いでくれた数多の小説に感謝しつつ、今回はここで筆を置かせていただきたいと思います。
ご拝読いただきまして誠にありがとうございました。
最終更新日：2020年8月11日
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