鍼灸師の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当


鍼灸師とは、縫い針や注射針ではない、施術用の鍼(はり)と灸(きゅう)を使って、身体にもともと備わっている自己治癒力を高め、症状を抑えていく資格です。

2018年に鍼灸を「伝統医療」としてWHO(世界保健機構)が認定したことにより、世の中の東洋医学に対する印象が変わり、鍼灸の需要が高まってきています。

今回は、そんな鍼灸師の気になる給料について紹介していきます。

鍼灸師の平均年収は330万円~400万円が相場

鍼灸師の平均年収は、おおよそ330万円~400万円と言われています。

年収は経験値や技術力、勤務形態、勤務場所などで変わってきますが、年齢による差はあまりありません。

特に経験値や技術力は年収に影響してきます。

なぜなら、鍼灸師は専門性の高い知識と技術が必要で、それにより施術スキルや患者さん対応スキルが変わってくるため、年収も変化していくのです。

また、勤務場所によっても多少年収に影響してきます。

それは、都市部と地方の物価の差によるものです。

都市部であれば家賃が高いので、給料も高くなければ生活していけません。

逆に地方であれば家賃は安く、その他の物価も安いため、給料が少し低い傾向にあります。

鍼灸師の年収・給料の構成要素

前述の通り、鍼灸師は専門性の高い知識と技術が必要ですので、その人の能力に応じて報酬があることが多いです。

能力とは、施術スキルや事務スキル等があります。

よって、鍼灸師の給料の構成要素は、おおよそ「基本給」「能力給」「歩合」「ボーナス」となっている場合が多いです。

基本給・能力給などはどうなっているの?

基本給はおおよそ月12万円~15万円ぐらいで、勤務先によっては15万円以上になることもあります。

能力給とは施術スキルや事務スキル等の能力に応じて支給している報酬で、おおよそ2万円~5万円ぐらいです。

技術をどんどん習得し施術に入っていくことで自分自身の能力が上がりますし、給料も上がりますので、積極的に取り組んでいきましょう。

賞与(ボーナス)はどれくらい?

賞与(ボーナス)は年1回~2回、金額は1.5ヶ月~2ヶ月分ぐらいのところがほとんどです。

場合によっては、歩合を賞与(ボーナス)として支給するケースもあります。

また、賞与(ボーナス)がないところもあります。

やはり賞与(ボーナス)の有無によって年収に違いが出てきますので、事前に確認しておきましょう。

歩合

勤務先によっては、歩合制を導入しているところもあります。

歩合制とは、業務により成果を出したり売り上げを上げたりしたとき、それらに応じて報酬が与えられる制度です。

制度の基準は勤務先により違いますが、例えば1人が月に100万円を売り上げて、報酬がその売り上げの1%だとすると1万円になります。

鍼灸師の歩合の場合は、1日に何人施術を行ったとか、患者さんを何人管理している等で報酬が決まってくるでしょう。

各種手当はどういったものがある?

資格手当

鍼灸師は国家資格のため、資格に対して手当てがあることがほとんどです。

大体3万円~10万円程で、学生などの無資格者と差別化を図っています。

また、鍼灸師と一緒に柔道整復師という国家資格を持っているダブルライセンスの人もいます。

柔道整復師とは、骨折・脱臼・捻挫・打撲等のケガや痛みに対して施術を行う資格です。

患者さんの症状によっては、柔道整復術と鍼灸を併用して施術することができます。

ですので、資格を持っていることで資格手当が更にアップすることが多いです。

他にも、鍼灸師の資格と並べられるのが「あん摩マッサージ指圧師」という資格です。

名前の通り、器具を一切使わずにあん摩・マッサージ・指圧を行う国家資格なのですが、鍼灸師の養成施設(大学・専門学校)で一緒に取得できるところがあります。

「鍼灸師」と「あん摩マッサージ指圧師」の資格を取得している人は「鍼灸マッサージ師」または「三療師」と呼ばれていて、鍼灸の施術と併用できます。

この「あん摩マッサージ指圧師」もまた資格手当があるところが多いので、資格取得していると年収が上がります。

時間外手当

受付時間外、受付時間終了後に施術した場合は、時間外手当があります。

例えば、午前の受付時間と午後の受付時間の間に施術をしたり、自宅に訪問して施術をしたりすると手当がつきます。

勤務先によって基準の違いがあると思いますので、この辺りも確認しておきましょう。

鍼灸師の雇用形態別の年収を見る

では、鍼灸師の年収を雇用形態別に見ていきましょう。

正社員(新卒)の場合の鍼灸師の年収

おおよそ250万円~350万円ぐらいです。

新卒の場合、いきなり施術現場に出ても何もできないのが現状です。

特に鍼灸師は専門性の高い知識と技術が必要ですので、施術スキルが足りなければ患者さんを実際に施術することはできません。

もちろん、資格を取得するまでに養成施設(大学・専門学校)で鍼や灸の訓練を行い現場実習を重ねて卒業していますが、なかなか実際に患者さんに施術するのは難しいのです。

ですので、練習して施術スキルをしっかりと習得するまでは、受付業務や施術機器の取り外し等をしていきます。

この理由により、新卒の年収は比較的低い傾向にあります。

社会人が転職する場合の鍼灸師の年収(正社員)

おおよそ300万円~400万円ぐらいです。

新卒に比べて転職の場合は社会経験があるため、年収が多少上がるかもしれません。

以前の勤務先が鍼灸に関する業種の場合は、考慮される可能性もあります。

なぜなら、鍼灸に関する業種で働いていた場合は施術の流れや患者さん対応を多少なりとも理解していると考えられ、短い期間の指導で即戦力になるためです。

鍼灸に関する業種でなくても、一般常識やビジネスマナーをしっかり身につけていれば患者さんに対する対応が良くなるため、患者さんの人気が上がります。

それにより、歩合があれば年収が高くなっていきます。

パート・アルバイトの場合の鍼灸師の年収

時給1,000円~1,500円ぐらいが相場です。

鍼灸師は国家資格であるため、パート・アルバイトでも時給の相場は少し高くなっています。

鍼灸師と関連する、柔道整復師の資格を取得しようと専門学校に通っている方、鍼灸師の教員免許を取得しようとしている方、子育て中の方等がパート・アルバイトを希望します。

扶養内で働きたいという方も多くおり、年収相場は一括りにはできません。

鍼灸師は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?

鍼灸師は、努力すれば年収1000万円を目指すこともできます。

特に何店舗も経営している鍼灸院であれば、院長として一つの鍼灸院を任されるようになったり、複数の鍼灸院を管理するようなマネージャーに就任したり等で、高額な報酬を得ることができるでしょう。

また、自分の鍼灸院を経営する「独立開業」をした場合、可能性は無限にあります。

自分だけで鍼灸院を経営すれば、経費を少なく抑えられ、収入を大きく得ることができます。

来院される患者さんが増えてきたら待ち時間が増えてしまいますので、経費が掛かってしまいますが1人~2人受付スタッフを雇います。

そうすることで待ち時間が減少し、患者さんは来やすくなりますので、更に患者さんの増加が見込めます。

患者さんが増加し施術を行う人手が必要になれば、スタッフを雇用して売り上げを更に伸ばしていきます。

このように独立開業をすれば様々な可能性が広がり、大きな報酬を得ることが可能です。

鍼灸師はどういった勤務先だと年収が高くなるか?

鍼灸師の勤務先は鍼灸院だけではありません。

近年、鍼灸師の勤務先は増えていて、多種多様な業種で活躍しています。

整形外科で働く場合の年収

整形外科は、特に骨・筋肉・神経・靭帯などの運動器で起こる病気を取り扱う医療機関です。

鍼灸師は、医師が診察した後、患者さんの治療を行っていきます。

身体のどこかに痛みや障害がある患者さんにマッサージ、運動療法、物理療法をメインに施術して、症状を改善していきます。

整形外科は鍼灸院とは違って医療機関なので、年収が高い場合があります。

他にも働いているスタッフが多いため、有給がしっかり取得できたり定時で帰宅できたりする整形外科が多いです。

リハビリテーションについて学びたい方、レントゲンやMRI等の画像の見方を学びたい方におすすめです。

介護施設で働く場合の年収

近年、鍼灸師は介護施設にも需要があり、デイサービス(通所介護)やショートステイ(短期入所生活介護)等の勤務先があります。

介護報酬は比較的高めに設定されていますので、年収が高くなる可能性があります。

なぜ鍼灸師は介護施設で働けるのかと言いますと、介護分野では「機能訓練指導員」という資格として利用者さんに機能訓練の指導を行い、できる限り自立した生活ができるよう支援することができるからです。

機能訓練指導員の資格は鍼灸師だけあるのではなく、他の医療系資格も認められています。

他の医療系資格として、柔道整復師・理学療法士・作業療法士・看護師・准看護師等があります。

介護施設は高齢者を対象として業務をしているため、夕方の5時~6時ぐらいには業務が終わります。

書類整理をしていると遅くなることもありますが、比較的早く退社することができます。

複数店舗を経営しているグループの鍼灸院や、鍼灸接骨院・鍼灸整骨院で働く場合の年収

複数店舗を経営しているグループの鍼灸院や鍼灸接骨院・鍼灸整骨院で働く場合、年収が高いと思われます。

なぜなら、一つの店舗で施術している鍼灸院や鍼灸整骨院・鍼灸接骨院はそこの店舗しか売り上げが出てこないですが、複数の店舗があればそれぞれから売り上げが出てきます。

赤字経営でなければ、従業員の給料も高くなります。

そして、複数店舗を経営しているグループの鍼灸院や鍼灸接骨院・鍼灸整骨院はキャリアアップ制度がしっかりと整っていることが多いため、段階を踏みながら年収アップができるのです。

例えば、就職したら最初は受付や助手として業務に携わります。

業務をこなせるようになってきたら、鍼や灸、手技の練習を行います。

それから合格レベルに達すれば、次は施術スタッフとして患者さんに施術をしていきます。

施術スキルや対応スキルが上がってきたら、院長として一つの店舗を任されるようになります。

更に院長として成長し、上を目指していくのであれば、マネージャーとして複数店舗のマネジメントをしていきます。

このように、複数の店舗があればステップアップしながらキャリアを積んでいくことができ、それに伴い年収も上がっていきます。

訪問鍼灸を主にしている鍼灸院で働く場合の年収

鍼灸院の中でも、訪問鍼灸を主体として運営しているところがあります。

訪問鍼灸とは、名前の通り患者さんの自宅に訪問して鍼灸施術を行う方法です。

歩行が困難で通院できない方、寝たきりで介護が必要な方、ケガや病気で動けなくなった方等が対象になります。

訪問鍼灸は医師の同意書があることで健康保険の適応となり、往診料金(交通費)も施術費に含まれていますので、患者さんの負担が少なく施術を受けられます。

健康保険が適応になると、通院での健康保険の単価や自費の鍼灸施術の単価に比べて単価が高くなります。

その分従業員の給料にも反映されますので、年収が高くなる可能性があります。

これから鍼灸師になる人へのアドバイス

年収が高い勤務先を紹介していきましたが、これから鍼灸師になる人は、目先の給料だけで勤務先を決めるのは絶対にやめて下さい。

近年増えてきているのが、給料と休日だけを見て就職してしまう事例です。

給料が多かったら、様々な物を買えたり美味しい物を食べたりできると思います。

休日が多かったら、家でゆっくりできたり友達と遊びに行ったりできると思います。

しかし、自分自身のやりたいこと、成し遂げたいことを見失ってはいけません。

勤務先を選ぶ際には、自分が目指している目標に近づけられるような所にして下さい。

そのような選択をすれば、しんどいかもしれませんが、必ず頑張ったことは報われますし、選んで良かったと思えるはずです。

現場の雰囲気を直接肌で感じると自分の就職したいところかどうか分かるため、面接する前に一度施設を見学することをおすすめします。

求人票に書いてある待遇より大切なところが見えてきます。

特に施設の設備や雰囲気、利用者の表情や態度、従業員の対応や動きを見て、自分が働いている姿と照らし合わせてみましょう。

イメージすることで、自分と合うか合わないかが分かってきます。

一つの施設だけでなく様々な施設を見学して、視野を広くして勤務先を探しましょう。

さいごに

鍼灸師は、医療分野、介護分野、美容分野、スポーツ分野等の様々な分野で活躍することができます。

昔は皆鍼灸院で修行をして独立開業していましたが、そんな世の中ではなくなりました。

多種多様な勤務先がありますので、自分に合った就職先を探すのがなかなか難しくなってきています。

ですので、自分が目指す目標を決めて、焦らずじっくり探すことが大切です。

最終更新日:2020年6月23日

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