パラリーガルの年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
最近耳にする機会が増えた職業の一つにパラリーガルがあります。
パラリーガルは弁護士秘書や事務員とは異なり、弁護士資格は持たないものの、弁護士の指示に従って限定的な法律業務を行いサポートする仕事です。
法律事務所や企業の法務部に勤務する一般事務員の場合、法律に関する知識は必須ではありません。
しかし、パラリーガルの場合はその職務上、法学部出身者や法律に明るいことが条件です。
今回は弁護士資格がなくても法律に携わる仕事ができるパラリーガルの気になる年収を徹底解説していきましょう。
パラリーガルの平均年収は400万円弱が相場
法律事務所や一般企業の法務部など様々な勤務先がパラリーガルにはあり、その勤務先と年齢によって年収に開きがあります。
勤務先と年齢を考慮せず算出したパラリーガル全体の平均年収は、400万円弱です。
2019年度の日本人の平均年収が約440万円なのを考えると、パラリーガルの年収は低くはありませんが決して高いとは言えません。
年代別に見ると、20代で250万円前後、40代後半~50代前半で約500万円です。
また地域別で見た場合、最も年収が高いのは東京都で約530万円、2位の大阪府が約450万円で、80万円もの差があります。
一方、最も年収が低いのは沖縄県の約300万円で、1位の東京都とは200万円以上も収入差があるのです。
その地域の物価や地価、訴訟や法律相談件数によって、同じパラリーガルでも年収に結構な差があることを理解しておきましょう。
パラリーガルの年収・給料の構成要素
パラリーガルの年収の構成は、一般企業のサラリーマンと同様に「基本給」「能力給」「ボーナス」「その他手当」が多数であると言えます。
また、大手法律事務所や企業の法務部に勤務するのであれば、事務所や会社の福利厚生を利用できます。
基本給・能力給などはどうなっているの?
給与のベースとなり、ボーナス額にも関わってくる基本給ですが、どのくらいのペースで昇給していくかは事務所や企業によって違います。
1年ごとに1万円程度増えていく場合もあれば、あまり変動がない場合もあるようです。
一方で能力給はその人の業績などに関わってくるため、前年度の評価によって個人個人で異なり、同期であっても違いが出てきます。
事務所によっては、能力給の昇給ペースが速くて月々の給与は高めな分、基本給のペースは緩やかでボーナスが多くない所もありますよ。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
ボーナスは基本給に比例するので、同じパラリーガルでも勤続年数と法律事務所や企業の規模によってかなりの差があります。
支給される回数は夏冬の年2回が一般的で、基本給の4ヶ月~5ヶ月分を二度に分けて受け取る場合が多いようです。
法律事務所に新卒で入所すると、事務所によっては初めての夏のボーナスは出る場合と出ない場合があります。
また中には一律10万円が支給されるところもあり、勤務先によって様々です。
各種手当はどういったものがある?
まず大半の事務所や企業が、一般的な手当である通勤手当や業務に関わる交通費、残業代を出しています。
パラリーガルには公的資格は不要ですが、宅地建物取引士や行政書士などの資格を有している場合、資格手当が追加されるケースも。
その他に食事手当や家族手当が支給される場合や、休日出勤した際は何割か増しで手当てが貰える事務所や企業もあります。
この各種手当は、中小規模事務所に比べて大手事務所や企業がより手厚く、種類も豊富です。
住宅手当に関しては事務所や会社の規定によって異なるため、一概に言えません。
しかし、独身で実家からの通勤に一定以上の時間がかかる場合は、一部家賃を負担する事務所もありますし、企業の場合は社宅を利用することも可能です。
その他に、通勤手当や時間外勤務手当(残業代)などの各種手当が支払われます。
パラリーガルの雇用形態別の年収を見る
パラリーガルも、正社員に限らず様々な雇用形態があります。
ここでは、正社員・契約社員・派遣社員・アルバイト別にパラリーガルの年収を見ていきましょう。
正社員の場合のパラリーガルの年収
四つの雇用形態の中で、最も年収が高いのが正社員です。
法律事務所や企業に正社員のパラリーガルとして勤務する場合、年収は大体300万円~500万円となっています。
かなりの開きがありますが、これは大手事務所や外資系事務所に勤務するか中小規模事務所に勤務するかで差があるからです。
大手や外資系事務所は手当やボーナス、福利厚生が手厚いため、新卒時から高めの給与を貰える可能性があります。
一方中小規模事務所の場合は、正社員であっても大手や外資系事務所に比べると手当が少なかったり、ボーナス額が低いケースが多いのです。
契約社員の場合のパラリーガルの年収
次に、契約社員のパラリーガルの年収を見ていきましょう。
契約社員の場合、正社員ほど年収に開きはなく、約250万円~350万円ほどが平均年収となります。
ボーナスが支給されるかどうかは契約により異なる上、各種手当の支給も正社員とは違い付かないか手厚くない場合が多いため、正社員より年収が低くなっています。
派遣社員の場合のパラリーガルの年収
派遣社員の場合は時給で給与が換算され、支給される手当も交通費のみという場合が多いようです。
東京の法律事務所で派遣社員のパラリーガルとして勤務する場合、時給は1,500円強が一般的となっています。
残業代と交通費を含まない年収で約250万円です。
また、派遣社員は基本時給が高めに設定されていて時給にボーナスが含まれていると考えるケースが多く、ボーナスの支給はないのが基本となります。
アルバイトの場合のパラリーガルの年収
大学院に通っている学生や元パラリーガルの主婦(夫)が、アルバイトやパートとして勤務することもできます。
時給は派遣社員よりも少なく、東京都の中小規模事務所で1,200円程度が相場です。
手当は派遣社員と同様で交通費のみが大半で、週休2日制で募集している場合とシフト制があります。
そのため四つの雇用形態の中で年収に最も開きがありますが、社員と同様に週休2日で勤務した場合で220万円程度です。
パラリーガルは、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
パラリーガルは雇用形態によって給与に開きがあることが分かりましたが、最高で一体どれくらい稼げるのでしょうか。
日本国内に限らなければ、アメリカでパラリーガルとして働けばかなりの高収入が見込め、人によっては年収1000万円を超えます。
これがパラリーガルの最高年収額と言えるでしょう。
日本国内であれば、大手や外資系法律事務所のパラリーガルの収入が最高額になります。
ベテランのパラリーガルで語学にも長けていれば、年収は800万円以上と高給です。
パラリーガルはどういった勤務先だと年収が高くなるか?
アメリカでパラリーガルとして働くか、国内であれば大手法律事務所や外資系法律事務所に勤務すれば高収入が得られます。
ここでは、大手や外資系事務所に限らず、パラリーガルとして働ける勤務先別に平均年収などを詳しく見ていきましょう。
大手法律事務所で働く場合の年収
日本には5大法律事務所が存在し、一般的に想像される数名~数十名規模の法律事務所とは一線を画した大規模事務所となっています。
この5大法律事務所(西村あさひ法律事務所、長島・大野・常松法律事務所、アンダーソン・毛利・友常法律事務所、森・濱田松本法律事務所、TMI総合法律事務所)の大学新卒パラリーガルの初任給はどこも23万円前後で、年2回のボーナスが出ます。
年収は約330万円で、これに各種手当がつくため、一般的な初任給に比べて高額の部類と言えるでしょう。
順調に昇給して資格を取り資格手当の対象になれば、働き盛りの頃には年収800万円以上の高収入も夢ではありません。
外資系法律事務所で働く場合の年収
ベーカー&マッケンジー法律事務所や、モリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所などといった外資系法律事務所で勤務するパラリーガルも高収入が見込めます。
外資系法律事務所は新卒者の採用が少なく、日系・外資系法律事務所での勤務経験がある人を中途採用しているケースが多いです。
中途採用の場合、それぞれのスキルや年齢によって給与に変動があるものの、年収600万円程度となっています。
外資系事務所は5大法律事務所以上に渉外案件の件数が多く、顧客も外資系やグローバル企業です。
そのため最低でもビジネスレベル以上の日本語と英語力が求められるので、年収は高めに設定されています。
中小規模法律事務所で働く場合の年収
法律事務所の大半を占める中小規模事務所は、多くの人が「法律事務所」と聞いて思い浮かべるイメージに近いです。
この中小規模事務所の年収は、全国平均で約300万円~350万円が相場とされています。
もちろん東京や大阪のような大都市圏であれば年収は高くなりますよ。
中小規模事務所はボーナスや手当、研修制度に関しては、大規模事務所に比べると充実度が低いというデメリットがあります。
年収も低めですが、その分過度なストレスを感じづらく、こじんまりとした雰囲気の中で業務にあたれることがメリットです。
企業の法務部で働く場合の年収
パラリーガルと聞くと、法律事務所での勤務以外にイメージが湧かない人も多いでしょう。
しかしパラリーガルには、企業の法務部や総務部に就職し法律業務に関わるケースもあります。
企業の法務部などの場合、採用数自体が多くなく、大半は新卒ではなく中途採用です。
スキルに関しても法律知識に加えて一定以上の英語力が求められるため、給与も高めとなっています。
年収は勤務する企業の規模や手当の厚さによって変動があり、低い場合で約300万円、高い場合だと稀にですが約1000万円の求人も存在します。
アメリカの法律事務所で働く場合の年収
日本ではここ10年ほどで知名度が増してきたパラリーガルですが、訴訟大国であるアメリカではより認知度の高い職業です。
アメリカのパラリーガルの中には、ローファームに勤務する腕利きであれば年収1000万円以上の人もいます。
また日本の場合、中小規模事務所のパラリーガルは年収300万円台が平均ですが、アメリカの場合は中小規模事務所でも年収400万円以上が一般的です。
アメリカは訴訟自体と弁護士数の多さからパラリーガルの需要も高く、更に日本とは違ってパラリーガルの認定制度があります。
そのため、事務所勤務の形態のみではなくパラリーガルとして独立して仕事を行うことも可能で、業務の幅も多様です。
パラリーガルの年収アップ方法は?
前述の通り、パラリーガルは正社員かそれ以外か、大手や外資系事務所かそれ以外かで年収に開きが出てきます。
パラリーガルとして働きながらできるだけ高収入を目指したいのであれば、大手法律事務所を第一志望にして就職・転職活動を行いましょう。
しかしながら大手法律事務所が求めるパラリーガルは、法律知識はもちろん英語力なども問われるため高レベルな人材です。
また同じく高収入が期待できる外資系事務所の場合は、大手事務所以上に英語力を重視します。
パラリーガルの年収アップには、常に法律知識の研鑽に励む向上心と語学力が必須となることを念頭に置いておきましょう。
これからパラリーガルになる人へのアドバイス
プロアシスタントとして法律知識を活かし弁護士を支えるパラリーガルは、専門分野を極められる仕事をしたい、専門的な業務を通して経験値を積んでスキルアップを目指したい人に向いています。
一方、あくまでアシスタントであり弁護士資格はないので業務範囲は限られており、勤務先によっては秘書業務も兼任する場合もあります。
法律に関する業務だけを専念して行いたい人は、大手事務所や企業の法務部のように専門分野に分かれて勤務する体制がある職場を探すと良いでしょう。
パラリーガルは雇用形態と勤務先によって年収に差がある職業ですが、年収の多い少ないに関わらず社会に貢献できるため、やりがいは大きい仕事です。
さいごに
昨今注目度が高い会社のパラリーガルの平均年収は約400万円、雇用形態や勤務先によっては200万円台の人もいれば、1000万円以上の高給取りもいます。
収入差は大きいものの仕事のやりがいは大きく、専門性がありながらも業務内容が多岐にわたる仕事です。
ご自身のスキル向上を図った上で条件の良い勤務先に就職・転職ができれば、年収アップも可能となりますよ。
最終更新日:2020年6月15日