国家公務員の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・各種手当について


就職や転職を目指す人は、景気が良い時は民間企業、悪くなると公務員を選択する傾向にあります。

公務員は身分が安定していて経済状況にあまり左右されない、という認識を持つ人が多いようです。

そこで公務員の給与・初任給・賞与(期末手当)・各種手当などについて徹底解説しますので、参考にして就職・転職活動に役立ててください。

なお、公務員には地方公務員も含まれますが、ここでは国家公務員についてのみ取り上げます。

従って、以下に記述する公務員は内閣総理大臣・国会議員・裁判官等法令で定める特別公務員を除く全ての国家公務員です。

地方公務員は国家公務員に準じているのが原則ですが、県・大都市・各市町村等組織や人員がそれぞれ異なりますので、給与・手当等は実情にあった方法を取っております。

地方公務員を希望する場合は、勤務したい自治体を決めて、早めに採用情報や待遇などの情報入手されることをおすすめします。

近年は各自治体とも優秀な人材を確保するために採用の範囲を広げたり、中途採用などにも注力しています。

公務員の最新の平均年収は686万円

人事院の最新の調査(平成30年)によりますと公務員の平均年収は686万円です。

これは特別公務員を除く一般職全体の平均です。

年収が多い職種は?

事務次官の場合

本府省のトップである事務次官の平均年収は3011万円と報告されています。

大企業の部長級の1000万円台と比べるとかなり高額に思われますが、大企業は40代が大部分ですので、かなり高い年齢(現在の定年年齢は特例的に62歳)の事務次官と比較するのに無理があります。

事務次官の役職は民間企業の役員クラスと位置付けられております。

この場合は、大企業の役員の年収は大部分が1億円を超えており、トップクラスで5億円以上の人もいますので格段の差が出てしまいます。

本府省の局長級の場合

局長級の平均年収は2291万円と報告されています。

局長は事務次官を目指すバリバリのキャリア組ですから、他の職種に比べて年収も高額になります。

国家公務員医師・歯科医師の場合

歯科を含む医師の平均年収は1300万円程です。

専門職職員の中で最も年収が多い職種ですが、事務職のトップランナーには及びません。

国家公務員研究員の場合

研究員職の平均年収は908万円です。公務員の中では多額とは言えませんが、民間と比較すると恵まれているようです。

因みに大企業の研究職の場合、受給年齢等の詳細は不明ですが、男子研究員の平均年収が596万円、女子研究員は464万円という調査結果があります。

1000万円以上の年収があるのは男子が8%、女子は800万円~900万円以上が9%となっています。

国家公務員船長・航海士の場合

平均年収は802万円です。

公務員の中でも海事関係は長期にわたり海上で業務をこなしたりする必要がありますので、家族などとの日常生活がままならないことから優秀な人材を確保するのに苦労しているようです。

以上、代表的な例を取り上げましたが、総じて専門職の場合は年収で事務職トップクラスの後塵を拝しています。

しかし、自分の職務に誇りと使命感を持っている人が多く見受けられます。

事務職の場合は高収入を望むのであれば競争は激しいですが,キャリア組などの上位クラスにチャレンジして勝ち取るのが近道であると思われます。

公務員の年収・給与の構成要素

公務員の年収の土台となるのは、毎月支払われる給与、6月と12月の期末手当(ボーナス)及び各種職種等に応じて加算される諸手当の合計額です。

民間の給料表に当たる俸給表が人事院によって作成され、ほぼ毎年改定勧告として政府と国会に報告されますが、手続的には内閣がその実施決定をして国会に提案し、可決されて初めて法律として有効になります。

大災害が起きたり、国の財政がひっ迫したりしていると、人事院勧告が実施されずに凍結されることもあります。

実際に昭和56年に管理職員等の給与改定が1年間延期、翌昭和57年には「未曾有の危機的な財政事情」により人事院勧告が凍結されましたので、公務員も経済状況に無縁ではありません。

この俸給表は行政事務を対象とした「行政職俸給表(一)及び(二)」と行政を実施するのに必要なプロフェッショナルを対象とした専門行政職・税務職・公安職・海事職・教育職・研究職・医療職・福祉職・専門スタッフ職などの俸給表が、それぞれ個別に法律で定められています。

毎年人事院が行っている調査では、行政職と上記専門職を含めた平成31年4月1日現在の人員は252,809人、平均年齢43.1歳、平均給与月額(俸給及び諸手当の合計)が417,683円という結果が示されています。

43歳で給与月額約41万7千円という数字を皆さんの立場でどう感じるか分かりませんが、人事院は毎年民間給与を調査して民間給与を越えないようにバランスを取った勧告を行っています。

年収に大きく影響する諸手当について

諸手当は次の通り多種類に上りきめ細かく定められていますので、就職時の初任給が同じでも手当により手取り額が大きく異なることがあります。

諸手当の概要を見てみます。

扶養手当

扶養親族のいる職員に支給されるもので、公務員になった時点で申請し認められれば、受給できます。

配偶者:6,500円 子:10,000円(16歳年度初めから22歳年度末までは5,000円の加算)

父母等:6,500円

配偶者や父母の収入が少なければ認められる可能性が高くなりますので、新卒で職員になった場合でも自分の実情を判断して、可能性があれば申請すべきです。 

住居手当

借家・借間に居住する職員あるいは単身赴任手当受給者で配偶者等が借家・借間に居住する職員が対象です。

支給額:最高 27,000円 借家・借間居住職員(月額12,000円を超える家賃の支払い者)

最高 13,500円 配偶者等が借家・借間に居住する単身赴任手当受給者

通勤手当

通勤のため、片道2㎞以上を常に交通機関等又は自動車等を使用している人が対象です。

支給額:交通機関等の利用者は1ヶ月あたり55,000円を限度に6ヶ月定期券等の価額により一括支給。

自動車等の交通用具使用者は通勤距離に応じ、2,000円~31,600円を毎月支給

単身赴任手当

異動等に伴って住居を移転し、やむを得ない事情で同居していた配偶者と別居し単身で生活することになった職員が対象です。

支給額:職員の住居と配偶者の住居との交通距離に応じ月額30,000円~100,000円

地域手当

民間賃金の高い地域に勤務する職員が対象です。

支給額:(俸給+俸給の特別調整額+専門スタッフ職調整手当+扶養手当)の月額に支給割合を乗じた金額です。

支給割合が一番高いのは1級地として東京23区の100分の20、次いで2級地として大阪市・横浜市の100分の16、以下7級地まで定められていて、級が増えるごとに支給割合は低下します。

7級地は札幌市や前橋市など10都市で支給割合は100分の3になります。

広域異動手当

配置換えで異動した距離が60㎞以上の場合に、その距離に応じて異動の日から3年間支給されます。

支給額:(俸給+俸給の特別調整額+専門スタッフ職調整手当+扶養手当)の月額に支給割合を乗じた金額です。

支給割合は60㎞以上300㎞未満は100分の5、300㎞以上は100分の10です。

特地勤務手当

離島等生活が著しく不便な地にある官署に勤務する職員を対象に、1級地から6級地まで6段階に区分された割合に基づいて(俸給+扶養手当)を基礎に一定額が支給されます。

寒冷地手当

11月から翌年3月までの間、寒冷地に勤務する職員に支給されます。

支給額は地域の区分(1級地から4級地)及び世帯等の区分に応じた月額で、最高額は1級地の旭川市・帯広市の扶養親族がある職員が受給する26,380円です。

職員の特殊性に基づく手当について

俸給の特別調整額

管理・監督の地位にある職員に支給される手当です。

民間では管理職手当などと呼ばれています。

支給区分は1種から5種まで定めています。

支給額の代表的な例を紹介しますと

1種:本府省の課長:130,300円 

2種:本府省の室長:94,000円

3種:府県単位機関の部長:72,700円 

4種:管区機関の課長:62,300円 

5種:地方出先機関の課長:46,300円

です。

府県単位機関の部長が本府省の課長になると降格したような感じを受けますが、実際は昇格になります。

管理職員特別勤務手当

管理・監督の地位にある職員が臨時・緊急の必要等で週休日や平日深夜(午前0時から午前5時までの間)に勤務した場合に支給されます。

支給額は前述の特別調整額の区分に基づいて週休日等の勤務は6,000円~18,000円(6時間を超える場合は5割増)平日深夜は3,000円~6,000円と定めています。

特殊勤務手当

著しく危険、不快、困難等特殊な勤務に従事する職員に所定額が支給されます。

時間外勤務等特別の勤務に対して支給する手当

勤務時間外に勤務した場合に、超過勤務手当・休日給・夜勤手当・宿日直手当などについて所定額が支給されます。

新人でも本府省に勤務する職員は多忙なため、超過勤務手当が多額になることが多いです。

人事院も超過勤務が多すぎることを指摘しています。

期末手当(2019年は合計で4.39カ月分)

6月1日と12月1日に在職する職員等に一定率(額)分が支給されます。

4月に勤務を開始した新人職員は6月の期末手当支給時は勤務実績が3ヶ月未満ですので、支給割合は100分の30になります。

12月には全額貰えます。

勤勉手当

俸給の中で勤務評価が反映される手当で、期末手当支給の際に加算されます。

勤務評価は(1)特に優秀 (2)優秀 (3)良好 (4)良好でない、の4つの区分で実施されます。

因みに令和元年の6月期における一般職員の「特に優秀」の場合は、100分の112.5以上100分の185以下の手当が加算されています。

本府省課長等の特定管理職員も評価の対象になります。

頑張れば手当が増えるインセンティブ的な要素があります。

その他の手当

本府省業務調整手当について

本府省の業務に従事する行政職(一表)・専門行政職・税務職・公安職・研究職の俸給表の適用を受ける職員で特別調整額受給者(管理職手当)以外の者に支給されます。

代表的な例として、課長補佐:39,200円 係長:22,100円 係員:8,800円 などが挙げられています。

本府省業務は行政の中心的役割を担っていますので、重視していることが窺えます。

初任給調整手当

専門的知識が必要で採用による欠員補充が困難であると認められる官職に採用された職員に一定期間支給されます。

代表的な例として、病院等の医師:414,800円以内、本府省の医師技官等:50,800円以内、試験研究機関の研究員等:100,000円以内 などが挙げられています。

専門スタッフ職調整手当

極めて高度の専門的な知識経験・識見を持って実行する必要がある業務で重要度・困難度が特に高い業務に従事する専門スタッフ職に支給されます。

支給額:俸給月額の100分の10

研究員調整手当

科学技術試験研究で、研究活動の状況等から人材の確保等を図る特別の事情があると認められる機関に勤務する研究員に支給されます。

支給額:(俸給+俸給の特別調整額+扶養手当)の月額×100分の10

以上が諸手当ですが、国家公務員のテリトリーは広範囲ですので、比例して手当の種類も多様です。

初任給を知って自分の年収を予測してみよう

国家公務員試験に合格して職員になると、受験した職種の俸給表に基づき初任給が決まります。

事務系の人が多いと思いますので「行政職俸給表(一)」の適用者を例にとって説明します。

総合職の初任給

総合職は人事院の定義では「主として政策の企画立案等の高度の知識、技術又は経験を必要とする業務に従事する係員」としていますが、俗に言うキャリア組で幹部候補生として事務のトップである事務次官を目指して出世争いをするグループです。

平成24年に新設されました。

総合職の平成31年の初任給は院卒が月213,000円、大卒が月186,700円です。

一般職の大卒

平成31年の初任給は月182,200円です。

一般職の高卒

平成31年の初任給は月150,600円です。

これらの初任給を基に年間給与額や上述した期末手当・受給できる各種手当を加算すると年収の予測ができます。

配置された職場が超過勤務が多い職場だと年収が増加します。

また、手取り額を予測するには、所得税・国家公務員共済組合掛金などが引かれることを考慮する必要があります。

民間企業では健康保険料が所得から控除されますが、国家公務員の場合は共済組合が医療費の給付なども行います。

(平成25年9月~共済組合掛金の率:8.285)

収入を増やしていくには、どうすればいい?

俸給表を見ると分かりますが、縦軸が号俸、横軸が職務の級になっています。

縦軸の号俸は大きいほど給与額が増え、横軸は右横に行くほど職務の級が上がります。

一般職の大卒は32号俸で1級ですが、総合職は院卒・大卒とも職務級が2級からのスタートになります。

スタート時点で職務級に差が出ています。

収入を増やすには職務級を上げていく必要があります。

公務員になった場合は、昇級・昇格に関する評価制度を知ってできるだけ早く職務級が上がるように努力することが、収入増加の近道になります。

また、この俸給表が適用されるのは課長までです。

課長を超えると「指定職」として別の俸給表が適用されることになります。

指定職は、国家公務員の最高幹部で各府省の事務次官をはじめ審議官級(局長、局次長等)が任命されています。

これから公務員を目指す人へのアドバイス

積極的に各府省の説明会やセミナーに参加しましょう。

各府省は優秀な人材を確保するため毎年人事院と連携を取り個別説明会やセミナーなどを実施しています。

就職してみたい府省の説明会に参加すると業務内容をよく理解することができ、意欲が湧いてきます。

情報は人事院や各府省のサイトの採用情報で入手できます。

即戦力の獲得にも注力していますので、技術・資格・経験などがある人はそれを活かすことができる府省の中途者採用にトライすることをおすすめします。

さいごに

就職した職員の事情により手当等が異なりますので、この記事では年収額は自分で推測してもらうようにしましたが、内閣府が平成29年度のモデル給与例を報告しています。

それによりますと「25歳の係員の給与月額が189,400円で年間給与が3,095,000円」となっています。

大卒で職員になって、3年程度で年収が300万円を越えるようです。

また、人事院が公務員試験等の改革を実施予定で、人事院は昨年から各界の有識者による「公務研修・人材育成に関する研究会」を設置し論議を重ねてきましたが、2019年2月に報告書がまとまりましたのでその内容を実行に移すことを計画しています。

事務官・技官の呼び名をやめて弾力的な適材適所の人事配置を行うことができるようにしたり、総合職の試験方法を変更することなどを予定しています。これから受験を目指す人は、人事院情報の把握に気を配るようにしてみてください。

以上、国家公務員の年収について解説させていただきました。

最終更新日:2019年12月19日

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法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)の一つである検察官は、犯罪捜査や刑事事件の公訴、裁判執行の監督などを行う国家公務員です。司法試験に合格後、司法修習時に本人の適性と希望などを考慮した上で検察官を選択し、採用試験に合格する必要があります。旧司法試験時代に比べると敷居は低くなりましたが、今でも司法試験を突破するのは非常に大変です。そんな難関をくぐり抜けた検察官の年収はどのくらいなのでしょうか。この記事では、検察官の平均年収や給料構成、勤務先やポスト別の年収などを徹底解説していきます。検察官の平均年収は600万円が相場階級や勤務地、諸手当によって差がありますが、検察官の平均年収(基本給)は約600万

トラック運転手の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当

トラック運転手と言えば、インターネット通販などで日々わたしたちがお世話になっている身近な存在です。自宅まで欲しいものや必要なものを運んでくれるドライバーさんなしでは、この便利な生活は成り立ちませんよね。個人の手元まで運んでくれるだけでなく、商品をお店に納品したり工場から製造したものを運んだりなど、トラックで「物を移動する」必要のある時はドライバーの存在が不可欠です。今回は、そんな日々の生活の縁の下の力持ちとも言えるトラック運転手の年収について、ご紹介します。トラック運転手の平均年収は400万円~450万円が相場トラック運転手の平均年収は、全日本トラック協会の調査によると、年収3,936,000

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