経理の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
経理は一般の事務職に比べて専門性が高く、自分のスキルを高めていくことができる職種ですので、一生の仕事として選ぶ方も多いです。
年収は少し高めのイメージがありますが、実際はどの程度なのでしょうか。
気になる経理の年収の内訳や、年収を上げるためにはどうすれば良いのかを徹底解説します。
経理の平均年収は300万円~600万円が相場
経理の年収は、他の事務職と比較するとやや高めに設定されていることが多いです。
というのも、経理の仕事は簿記や会計の知識が問われるため、専門的なスキルが必要とされるからです。
平均的な年収は300万円~600万円ほどが相場ですが、経験年数にも左右されますし、どこの会社に勤めるかによっても年収は異なります。
年収の高さだけで職場を選んでしまうと、実際に働いてみると難しい仕事が割り振られていたり、残業が日常的にある職場の可能性もありますので、自分のスキルや求める環境によって慎重に就職先を選ぶと良いでしょう。
経理の年収・給料の構成要素
経理の年収は、「基本給」「能力給」「各種手当て」「ボーナス」の構成になっている場合が多くあります。
それぞれの金額がどれくらいで、どのように割り振られているのか、各項目に分けて見ていきます。
基本給・能力給はどれくらい?
経理の月給の中で、8割~9割程度の部分を占めているのが基本給です。
スキルや仕事の評価によって数万円程度の能力給が設けられている会社もありますが、経理の仕事では少数派です。
経理は営業職のようにはっきりとした数字で評価できるものではないので、基本給のみで毎月の給料が設定されていることが多いのです。
能力給がある場合は、経理に関する知識の広さや、多岐にわたる業務に対応する力、正確さなどが評価されることが多いです。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
賞与(ボーナス)は月給の1ヶ月~3ヶ月分ほどが支給されることが多く、他の事務職とあまり違いはありません。
会社の規定にもよりますが、月給が多いほど賞与も多くなる傾向にあります。
賞与は会社の売上や利益にも左右されますし、普段の勤務態度や頑張りによって変動する可能性があります。
一般的な企業では年2回賞与が支給されることが多いですが、年俸制をとっている企業などでは賞与がないケースもありますので、年収を計算する際は注意しましょう。
各種手当てはどういったものがある?
各種手当ての代表的なものとしては「資格手当」「家族手当」「住宅手当」などがあり、それぞれ1万円~3万円程度が加算されることが多いです。
資格手当は会社で定められている資格を取得することが条件となります。
経理の資格では、日商簿記検定や税理士などの資格を取得していれば資格手当が貰える場合がありますので、予め就業規則を確認しておきましょう。
家族手当は配偶者や子供がいる場合の手当てで、住宅手当は住宅ローンや家賃などのために支給される手当てです。
経理の年収を新卒や雇用形態別に見る
ここでは、経理の年収について、新卒・転職で入社する場合の違いや雇用形態別に見ていきます。
新卒の場合の経理の年収
新卒で経理に配属される場合、年収は300万円~400万円程度が目安です。
新卒の場合は、簿記の資格などを取得している人もいますが、基本的には経理の実務経験がない場合がほとんどですので、一般的な新卒の年収と変わらないことが多いです。
ただ、新卒の場合は手厚い研修があったり、経験豊富な上司が詳しく教えてくれることも多く、経験を積んで年収を上げていくことが可能です。
社会人が転職する場合の経理の年収(正社員)
社会人が転職して経理の仕事をする場合は、年収は400万円~600万円程度が目安です。
経理への転職は、前の会社でも経理の仕事をしていた場合が多く、募集の段階で経験者が求められていることもあり、年収は高めであることが多いのです。
年収を上げるために他の会社へ転職する、という方も多いです。
もちろん未経験でも可能な募集もありますが、その場合の年収は経験者に比べて低めに設定されていることがほとんどです。
パート・アルバイトの場合の経理の年収
パート・アルバイトで経理の仕事をする場合は、年収は100万円~200万円程度が予想されます。
週何日、何時間働くかによって差がありますが、時給換算ですと1時間1,000円ほどを目安にすると良いでしょう。地域によって時給は異なりますので、希望する企業での待遇については自分で確認した方が良さそうです。
また、パート・アルバイトの場合はボーナスは出ないことが多いので、年収としてはやや低めになります。
経理は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
経理の仕事は奥が深く、何年勤めていても常にスキルアップを目指すことができますし、関連する資格も沢山あります。
スキルに伴って年収も高くなる傾向にありますので、新卒の頃は年収300万円だったとしても、同じ会社で経験を積んだり、転職をすることにより400万円~600万円へと年収を上げていくことが可能なのです。
大企業に勤めていて勤続年数が長く、管理職になっている場合は、年収800万円以上も目指せるでしょう。
経理はどういった勤務先だと年収が高くなるか?
様々な企業で働くことが可能な経理ですが、その年収は働く場所によって大きな差があります。
ここでは、経理がどのような場所で活躍することができ、年収が高くなる職場はどこなのかということを、企業別に解説します。
大企業で働く場合の年収
大企業では経理が処理をする件数や金額が大きく、様々なケースに対応する能力が求められます。
経理担当の人数も多く、能力が正当に評価されやすいのに加えて大企業では全体的に年収が高くなる傾向にあるので、経理の年収も高く設定されていることが多いです。
社員教育も行き届いていることが多く、新卒や未経験でも一定数の採用枠が確保されていることもあります。
中小企業で働く場合の年収
中小企業では経理担当の人数は少なめです。
小さい会社ですと一日におけるお金のやり取りも少なく、全体的に年収も低めに設定されていることが多いです。
ただ、少数精鋭で業務を行っている場合は様々な仕事を任されることも多く、大企業だとなかなか関わることのできない決算業務にも携わるチャンスがありますので、仕事にやりがいを感じることも多いでしょう。
外資系企業で働く場合の年収
外資系企業とは、外国法人または一定の割合以上で外国の人が出資をしている日本の会社です。
外資系企業は複数の国に拠点を持ち、規模が大きいことが多いので、一般的に年収は高めです。
また、成果主義を取っていることが多く、能力が評価されやすい傾向にあります。
ただし、日本と外国では会計基準が異なるため、日本の会計基準と外国の会計基準の2つを正確に理解する必要があります。
また、業務の中で外国語の書類を読んだり、英語で話をすることも考えられますので、高い語学力が必要とされます。
外資系企業の中には、社内の公用語が英語だという会社もあります。
経理の年収の決まり方や、年収が高い人の条件・スキル・特徴は?
経理の仕事をしている人の年収には差がありますが、経理の年収はどのようにして決まるのでしょうか。
ここからは、年収が高い人にはどんな条件・スキル・特徴があるのかについて、詳しく見ていきます。
1.簿記や会計などのスキル・経験がある
経理で年収が高い人の傾向としては、簿記や会計のスキルや経験があるということが挙げられます。
経理の仕事で最も多いのが、簿記を使った仕訳処理になります。
入出金や売上、仕入などに対して、簿記のルールに従って数字を入力する必要があるのです。
また、年度末には決算の処理があり、簿記や会計の知識がないと正確な処理を行うことが難しくなります。
このことから、簿記や会計の知識と年収は非常に関連性があると言えます。
これらの知識を得るためには、まずは「日商簿記検定」などの資格を取ったり、書籍勉強を始めるとスムーズでしょう。
2.経理での勤務年数が長い
経理は経験がものを言う職種ですので、勤務年数の長さは年収の高さにも繋がります。
同じ会社に長く勤めている場合は年次昇給や昇進も見込まれますし、違う会社に移ったとしても、それまでの経験を活かして働くことができます。
経理の仕事は大企業・中小企業などによって多少の違いはありますが、税金や決算のやり方など基本的なルールは同じですので、転職のタイミングで年収をアップさせることも可能なのです。
3.大企業での勤務経験がある
大企業での年収について解説した通り、大企業と中小企業では人件費に割くことのできる金額が大きく異なりますので、大企業に勤務している人は年収が高くなる傾向にあります。
大企業の経理では中小企業では経験できない規模の会計処理を行うことになり、自ずと経理のスキルが上がっていく人が多いのです。
このような経験があると、その後中小企業に転職することになった際には、ハイレベルなスキルを活かして経理部門を引っ張っていくことができるようになるかもしれません。
大企業での勤務経験は、スキルの向上という意味で年収を上げていく可能性があるのです。
4.より深い知識を学ぶ意欲がある
どの職種にも言えることですが、自分の仕事に対して興味を持って取り組むことができ新しいことに挑戦できる人は、年収を上げやすい特徴を持っていると言えます。
数字を扱うが故に淡々と仕事を行うイメージがありますが、簡単な仕訳処理から決算処理、会社の資金繰りなどスキルアップをすることで、会社全体を見渡すことも必要とされます。
意欲的に知識を身につけることで、より難易度の高い仕事を任される可能性も高まりますので、それが年収を上げることにも繋がります。
税金や会計上の制度が変更されることもよくありますので、日ごろから法律や制度についても学んでおくようにした方が良いでしょう。
5.英語・英会話が得意である
英語ができると、勤務先として外資系企業を選択することができるようになります。
英語力を活かして外資系企業に勤めることは高い年収にも繋がりますし、仕事の幅も広がります。
外資系企業では専門的な単語やビジネス英語が必要とされる場面もありますが、英語を一から勉強するよりもはるかに有利な状況で学習を進めることができますので、英語が得意なことによって高年収に繋がっていく可能性は高いのです。
経理の年収査定で大事なのは、特に「スキル」「経験」「企業規模」
経理の年収の重要な要素となるのが「スキル」「経験」「企業規模」です。
専門的な分野で力を発揮できる「スキル」、イレギュラーな出来事が起こっても対応できるような「経験」、スキルを上げる場所であると同時に正当に評価がされやすい「企業規模」は、年収と密接に関連することとなります。
どこを主軸に年収を上げていくかはケースバイケースですが、長く続けていくことで連鎖的に獲得できるものもありますので、自分に足りないものは何かということを冷静に分析してみると良いでしょう。
これから経理になる人へのアドバイス
経理は一度学べばどこの会社でも通用するスキルを身につけることができるので、これから経理で働こうと考える方は多いです。
事務職は全体的に残業が少なめの会社が多いので自由な時間が確保できますし、子育てや介護との両立がしやすいのも魅力です。
ただ、経理は会社の売上や支払いなどを管理する部署ですので、責任を持って仕事をすることが求められます。
正確に確実に仕事を行えるかが経理として成長できるかの分かれ目ですので、ある程度の覚悟を持って経理の仕事に挑戦してみてください。
どこの会社で働くかに迷った場合は、年収を考慮しつつも自分のスキルを上げることができる会社を選ぶのも良いでしょう。
スキルと経験を積み重ねることで、年収を上げる手段は沢山生まれるということも覚えておきましょう。
さいごに
事務職の中では少し特殊なスキルを必要とする経理ですが、業務に慣れれば処理スピードも上がりますし、数字を扱うことが好きな方なら楽しい仕事となるでしょう。
努力次第で高い年収を獲得することも可能な仕事ですので、この記事で年収の目安をチェックしながら、経理の世界へ飛び込んでみてください。
最終更新日:2020年2月10日