介護福祉士の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
介護の仕事と言えば、3Kという言葉があるほど給料が安いイメージが昔からあります。
しかし現在の日本では、超高齢化社会に突入して以降需要は増加傾向にあり、人材を確保するために待遇を良くしようと日々考えられています。
私自身介護業界で働いて11年になりますが、年収は飛躍的に向上していると実感しています。
ここでは、具体的にどれくらいの年収があるのか基本給以外にどのような手当てが出るのかなど詳しくご紹介したいと思います。
介護福祉士の平均年収は270万円~400万円が相場
介護の仕事と言っても様々なサービス形態があるので差はありますが、概ね270万円~400万円が相場です。
施設の人員配置や運営母体、夜勤の有無によって年収は変動します。
中には500万円以上の年収になる施設もありますが、ほんの一握りです。
介護福祉士の年収・給料の構成要素
介護福祉士の年収は基本給以外に様々な要素で決められていますが、それは施設のサービス形態によって異なります。
ここではそれらを含めてご紹介します。
基本給・能力給・歩合はどれくらい?
基本給は月10万円~15万円程度と施設によって差が激しいです。
理由としては能力給が基本給に含まれているか含まれていないかの違いになります。
基本給に含めてしまえばいいのでは?と思われがちですが含んでしまうとボーナスに響いてしまうのです。
ボーナスは知っての通り基本給×〇ヶ月分で計算されます。
施設によっては基本給を下げ能力給などで上乗せを行い、毎月の支給額を上げる代わりにボーナスの支給額を減らすことがよくあります。
次に歩合についてですが、歩合は介護業界では訪問介護・訪問リハビリ事業所が取り入れています。
どちらも自由診療になりますので、どれだけ提案することができるのかによってご利用者様からの希望を聞き、それを実行することで報酬を得ることに繋がります。
謂わば営業活動と同じです。
逆に施設入所の場合、殆どのサービスが通常の業務に含まれているため歩合を取り入れることは難しく、外出や通院でも数千円にしかならず、それも毎日ではないので介護福祉士が報酬を得られるわけではありません。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
賞与に関しては正直なところ施設次第です。
私がこれまで経験してきた施設でも、5.0ヶ月分という好待遇の施設もあれば1.8ヶ月分とかなり少ない施設もありました。
その違いとしては根本的な運営方針で変わると思います。
例えば施設の中には、運営母体が小さな法人で介護施設単体で運営している所では少ない傾向にあります。
逆に運営母体が病院であり資金が潤沢にあることで、運営がギリギリになってでも人材確保のために高い賞与を支給されていることもあります。
ただ介護施設にとって賞与というのは、正直言うと支給したくないものなのです。
何故なら、一般企業であれば普段の仕事の中で営業を行い契約数を増やしたり大きな仕事を完了させるなどで会社の売り上げを増やすことはでき、それに合わせて会社も賞与を増やしたりするのですが、介護施設ではどんなに頑張っても限界があります。
入所施設ではベッド数に限りはありますし増やしすぎても人材不足に陥りますので、適度な調整が必要になります。
施設が得られる報酬に限度があるため、賞与を支給できるだけの余裕がない施設は沢山あります。
それでも、給料が安くキツいとされている介護業界で何とかして人材確保するために、賞与を支給しなければならないのです。
各種手当てはどういったものがある?
手当として挙げられるのはまず資格給です。
介護福祉士であれば5千円~1万円程度支給される施設が多いです。
他にもホームヘルパーや施設によっては独自の資格を取り入れている所もあります。
次に夜勤手当があります。
一部のサービス形態を除き入所施設であれば夜勤が存在します。
基本的には夜勤一回あたり数千円の報酬が発生します。
そして殆どの施設で取り入れている処遇改善手当があります。
処遇改善手当とは、介護職員の賃金向上を目的に介護報酬を加算して支給する制度のことで、多い施設では毎月2万円前後発生する施設もあります。
金額に関してはキャリアアップ制度というものがあり、施設の設備面や人材面など様々な条件があり、それらを達成することで施設に与えられる支給金額が算出されます。
ただ処遇改善手当には様々な問題点があります。
まずは支給金額が定められていない点です。
原則として会社に入った処遇改善加算全てを介護職員に支給するというルールはありますが、全員に対して均等に支払うルールはありません。
中には法人がお金を取り込んでしまい支給しない悪質なケースさえあります。
多くの施設ではどれだけ仕事に取り組めたか、頑張れたかによって金額に差を付けています。
「だらだら仕事をしている」「成長が見られない」職員に対してお金を投資しても意味がありません。
その分資格を取得したり研修などに参加した職員に対し向上心があるとみなし上乗せする場合が多いです。
介護福祉士の年収を雇用形態別に見る
介護福祉士として仕事をしていく上で雇用形態によっては年収に大きな差が出てきます。
ここでは雇用形態別に年収を見ていきます。
正社員の場合の介護福祉士の年収
正社員になれば夜勤・早出・遅出・日勤と様々な時間の勤務になりますがその分各種手当が出ますので、パート職員等と比べると大きな差になります。
施設としても正社員にすることで安定した給与を保証することになるので、人材確保に繋がります。
年収としては300万円程度の年収は期待できます。
パートの場合の介護福祉士の年収
パートでは殆ど固定の時間での勤務になります。
時間は人によって様々で朝早くからの勤務もあれば昼過ぎに来て夜遅くまでの勤務時間もあります。
ただ、それによる手当などは支給されないのが一般的です。
賞与や処遇改善手当等を支給しないことも珍しくないので、年収は200万円程度になります。
介護福祉士は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
日本は今後超・超高齢化社会に突入します。
その中で介護福祉士は常に求められる仕事になります。
今は様々な政策により給料の見直しや加算などで、私が介護福祉士になった時と比べるとかなり向上しています。
例えば特定処遇改善加算が昨年から話題となっていますが、勤続年数10年を超える介護福祉士は月8万円or年収440万円まで賃金アップさせるという制度が検討されています。
理由としては経験者が辞めていくケースが全国的に多く、理由としては結婚し生活面で難しくなってきたり年齢による給与が多職種と比べ明らかに少なく、ベテラン職員が多く辞めていくのを防ぐために、10年を超えた介護福祉士には好待遇を約束し、10年以下の介護福祉士に対し頑張れば高年収が約束されると伝えて頑張ってもらう目的があります。
今後需要が高まる中で更に上がっていくことが予想されます。
介護福祉士はどういった勤務先だと年収が高くなるか?
介護福祉士の年収も、勤める施設のサービス形態によって様々だと思います。
では、どこの施設で働いた方が年収が高いのでしょうか?
介護老人保健施設で働く場合の年収
通称老健と呼ばれる施設ですが、主にリハビリをメインとし自宅に戻り生活することを目的とした施設になります。
そのため利用者の入退所は激しく、2ヶ月~3ヶ月でいなくなる利用者も珍しくありません。
医療職との連携が必須となる施設ですが、ここは医師が常駐していることが条件となっており施設長を勤めています。
その医師は隣接する病院でも働いており、施設の運営母体が病院ということになります。
そのため資金は潤沢にあります。
病院内でもリハビリはできますが、ベッド数に限りがあるため施設を併設する形で作り、そこでリハビリを行ってもらうのです。
つまり老健は病院にとって無くてはならない施設なので、職員に対し高い給料を支払い人材確保に繋げているのです。
覚えることは多く大変な仕事ですが、病院がバックについているので福利厚生もしっかりしており、高年収が期待できます。
デイサービスで働く場合の年収
300万円前後と入所施設と比べると低めに設定されています。
理由としてはデイサービスは日中利用のみなので夜勤はなく、その分手当てが少なめです。
時間外業務も殆どないので、あまり高い年収とは言えません。
しかし逆に給与以外の待遇面は良く、年末年始や土日祝日・地方祭などで施設が休みなので、規則正しい生活を送ることができます。
夜勤をしていると、どうしても生活が不規則になり身体を壊してしまう方もいるので、その点を考えると高ポイントと言えます。
高級介護施設で働く場合の年収
昨今都心を中心に増えている施設なのですが、私の知っている施設では入居時に数千万円を支払います。
それ以降は月額料金は発生せず住み続けることができます。
中はホテル並みに綺麗でコンシェルジュが付いたり専属の介護スタッフもいる施設ですが、その分ハイクオリティの技術力が求められるので、報酬として年収もかなりの金額になります。
噂では700万円程度年収があるようです。
ただ地方に行くとほとんど見られない形態の施設なので、求人を探すのは一苦労です。
介護福祉士で年収をアップさせたい人がやってほしい3個のこと
ただ介護福祉士として仕事をしているだけで年収が上がるわけではありません。
年収が上がるかはどれだけ努力したかに比例します。
ここでは、経験者の私から見た年収が上がる方法をご紹介します。
ご家族様に最大の配慮を
ご家族様の中には、ご自分のご両親を施設に任せることに不安を抱かれている方や心配な方が多数おられます。
介護に関する知識やサービスなどを全く知らない方も珍しくありません。
それなのにさも当たり前のように専門用語ばかり使っても、ご家族様からしたら不親切な職員と思われます。
それは施設に対する不信感にも繋がり、年収を逆に下げることになるのです。
何故ならご利用者様並びにご家族様からの評価というのは昇給・賞与を行う上で重要なポイントとなるからです。
例えば営業であればどれだけ契約できたか製品が売れたかによって評価されますが、介護の場合全員が同じような仕事をしている為それが非常に難しく、どれも重要な仕事である以上、さぼったりしていない限り評価に差を付けにくいです。
それに対しご利用者様等の評価は、純粋な職員の仕事に対する頑張りに比例されます。
そのため、ご家族様にも分かりやすく丁寧な説明を行い、ご理解いただけるような配慮が必要です。
また、ご家族様はいつ施設に来られるか分かりません。
そのため常に居室の清掃を行い、整理整頓を心掛けましょう。
研修に参加する
介護の仕事では、仕事だけをしていれば全ての学べるわけではありません。
レクリエーション活動等は同じことを続けていてもご利用者様は飽きてしまいますので、外部に研修に行き学んできて施設で実施することで、満足して頂けます。
それらの研修は報告書を提出することで、自分は休みの日でも自己研磨を行いサービスの質を向上させるために頑張っていると施設に対してアピールできます。
また介護業界では、多くの介護従事者が集まる全国大会があったり報告会などが定期的に行われます。
それらに参加すれば評価に繋がりますし、基本出張扱いなので出張手当がつく為おすすめです。
人の嫌がることをやる
介護に限った話ではありませんが、この業界ではこれが大きな差になるのです。
例えば排泄介助は日常的に行いますが、それでもできることならばやりたくないと思うのが普通なので、それを避けたりサボる方も珍しくありません。
他にもトイレ掃除やお風呂掃除など疲れることを避ける傾向にありますが、逆にそれらをすることでプラスになります。
職員間の評価も重要なポイントの一つです。
そしてそれらを行わない姿は、同僚は勿論ご利用者様やご家族様は見ていますし、仕事にも当然あらわれます。
これから介護福祉士になる人へのアドバイス
介護の仕事は本当に大変な仕事です。
命を預かる仕事なので辛い体験をすることはありますが、その分やりがいはあります。
私は今年で11年目になりますが、最初の頃はキツくて転職を考えていたものの、今では介護の仕事を一生していこうと強く思うようになりました。
また政府も介護業界に対して強く力を入れるようになっており、勤続10年を超える介護福祉士に対して月額8万円増し、または年収440万円以上にするとしており、介護離職ゼロを施行されています。
今後離職率を下げるために、様々な方法で地位の向上と賃金アップが期待できます。
令和2年度には私の勤めている施設にも大学を卒業された方・高校を卒業された新卒の方が多数入社されました。
数年前と比べると、若者にも将来性のある職業だと認知されてきた証拠です。
介護福祉士は今後の日本において無くてはならない大切な職業です。
それ故に様々な制度により待遇は年々見直されており、3Kは既に過去の遺物となっています。
これを機に介護福祉士にトライしてみるのをおすすめします。
いかがでしたでしょうか。
介護福祉士として働く中でも、勤務先や雇用形態などによって年収は大きく変動します。
都心などの家賃が高いところでは、住宅手当を支給されていたり家族手当を支給される施設もあります。
これらを参考に、介護福祉士への就職・転職を考えてみていただければ幸いです。
最終更新日:2020年4月28日