獣医の年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当


「動物のお医者さん」は、動物好きなら誰でも一度は憧れたことがある仕事ではないでしょうか?

獣医には、動物病院以外で働く以外にも公務員としての仕事、民間企業の研究職でなど様々な働き方があります。

そんな獣医の年収は一体どれくらいなのでしょうか。

今回は、雇用形態別・勤務先別の獣医の年収やその他の手当てについてご説明していきます。

獣医の夢を持っている人や転職を考えている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

獣医の平均年収は585万円が相場

獣医の給料は雇用形態や勤務先によって大きく異なります。

一般的に、獣医師の資格を持った人の約半数は動物病院に就職し、残りの半数が地方公務員(保健所、動物園、食肉検査所など)、国家公務員(厚生労働省、農林水産省)や農協、大手製薬会社などの民間企業、動物園などで職を得ます。

公務員の場合は自治体の規定により給料が決まりますが、民間企業の場合は企業規模によって給料が大きく異なります。

一般的に製薬会社、医薬系企業の給料は高く、動物病院は経営者や規模によって大きく差が出ると言えます。

厚生労働省(※)によると、平成30年の獣医師(一般労働者)の給与(現金給与額)は月額41万6千円、年間賞与・特別手当は86万3千円でした。

年収は約585万円になっています。

※(企業規模:10人以上、平均年齢35.1歳)

獣医の年収・給料の構成要素

獣医の年収は、「基本給」「ボーナス」の構成を基本として、職場によって様々な手当がついてきます。

開業をする獣医以外は、一般社員と同様に給料を貰って働くことになります。

基本給・能力給などはどうなっているの?

動物病院勤務の基本給(小動物専用「臨床獣医師」):月18万円~23万円(初任給)

基本給は雇用先によって大きく異なりますが、一般の動物病院で働く場合には初任給は月18万円~23万円程度が相場になっています。

経験や実績と共に給料は上がっていくことが多いです。

勤務先によっては残業時間が長かったり、職場の待遇面で改善を求める獣医も少なくありません。

地方公務員の基本給:月おおよそ20万円~(初任給)

地方公務員の場合は事務職の給与規定に基づいて支払われますが、獣医師には処遇改善策の一つとして「初任給調整手当」が別途加算されます。

都道府県によって金額や待遇も違いますが、3万円~4万円を10年~15年間支給するところが多いです。

都道府県にもよりますが、初任給は20万円前後が一般的です(各種手当は除きます)。

一例を挙げると、さいたま市では地方公務員としての獣医の初任給は約22万6千円(地域手当含む)です。

この金額に、通勤手当や扶養手当が加算されることになります。

国家公務員の基本給:月21万円~(初任給/手当除く)

獣医師の花形でもある「農林水産省」「厚生労働省」が管轄する部署で国家公務員の獣医師として働く場合、「総合職」と「一般職」の二つに分かれます。

年収は30代で約500万円、40代で600万円~700万円程になります。

総合職で出世した場合は年収1000万円以上(事務次官は約2000万円)にもなります。

国家公務員は募集人数も非常に少ないため、狭き門になることを覚えておきましょう(令和2年の農林水産省の募集要項では「動物医薬品検査所」及び「動物検疫所」の募集人数は25名です)。

一般企業勤務の基本給:月20万円~(初任給)

一般企業で働く場合は企業規模や職種内容によっても異なりますが、月20万円以上からスタートする会社が多いです。

一例を挙げると、ワクチン開発に携わる製薬会社の初任給は月に約21万円。

獣医師には「資格手当」が別途付きます。

製薬会社勤務の平均月給額は約30万円なので、年収は600万円~800万円になります。

他の職種に比べてもかなり給料が高いことが分かります(30代前半の男女の平均年収は約403万円)。

地方公務員の初任給は決して高くありませんが、年々上がっていくことと安定した職場であることからも根強い人気があります。

国家公務員は、地方公務員に比べて給料や福利厚生面での待遇が良いというメリットがあります。

大手の医薬系会社は研究職がメインのため残業も多いですが、給料や手当面で待遇が良いことが分かります。

賞与(ボーナス)はどれくらい?

ボーナスの金額は勤務先の団体の規模や一般企業か公務員かによって大きな差が出ます。

公務員であれば、地方自治体の規定に従った算定方法でボーナスが支給されます(公務員の場合は月給×4ヶ月以上支給される場合が多いです)。

勤務先の団体の規模によっての統計が出ているので見てみましょう。

  • 10人規模:60.5万円 (平均年齢40歳)
  • 10人~99人規模:39.9万円 (平均年齢37歳)
  • 100人~999人規模:89万円 (平均年齢 46歳)
  • 1,000人規模:66.6万円 (平均年齢 30歳)

(令和元年賃金構造基本統計調査より)

100人を超える規模の団体の下でのボーナスが一番高くなってはいますが、勤続年数と共にボーナスは変わっていくので、「団体の規模が大きい=ボーナスが多く支給される」とは言えないことも覚えておきましょう。

各種手当てはどういったものがある?

ここでは、動物病院勤務の場合、公務員の場合、医薬・製薬会社勤務の場合に分けてそれぞれの手当について説明をしていきます。

動物病院や小動物の病院の手当:「資格手当」「住宅手当」「通勤手当」「残業手当」

勤務先の動物病院の規定に従って手当が支給されます。

注意しなくてはならないのは「見込み残業手当」が支給される場合です。

残業時間が見込み時間より少ない場合は問題ありませんが、中には残業時間が見込み時間より大幅に超過する勤務先もあります。

医薬系・製薬会社:「資格手当」「住宅手当」「通勤手当」「時間外手当」「家族手当」「単身赴任手当」

大手医薬品メーカーや製薬会社は福利厚生も充実した会社が多いです。

会社によっては「ペット扶養手当」が支給される場合もあります。

公務員に対する手当:地域手当、扶養手当、通勤手当、住居手当

業務内容によっては「動物取扱業手当」「試験・検査等業務手当」が支給される場合もあります。

また、自治体によっては「初任給調整手当」が初年度~一定期間(10年~15年程度)支給される場合もあります。

公務員の手当は各地方自治のホームページに詳細が載っているため、支給される手当が詳しく分かります。

企業も求人広告やホームページの募集要項に福利厚生や手当について明記されているところがほとんどですが、小さな動物病院など勤務先によっては詳しいデータを調べることができない場所もあります。

就職前に必ず確認をするようにしましょう。

獣医の雇用形態別の年収を見る

獣医師になるためには、大学の獣医学部で6年間学び獣医学課程を修了した上で、国家試験(獣医師国家試験)に合格しなければなりません。

卒業後、正社員として働いた場合とアルバイトで働く場合には年収はどのくらい違いがあるのか、それぞれの場合を調べてみました。

正社員の場合の獣医の年収(動物病院勤務)

年収:350万円~1000万円

動物病院の求人情報を調べると、月額25万円~30万円が一般的な給料になっています。

ボーナスも加味すると、年収は350万円~420万円程度になります。

年棒で掲載している求人では300万円~1000万円と幅広い金額が提示されています。

公務員の場合の獣医の年収

年収:580万円前後

自治体によって異なりますので一例を挙げます。

月額給与35万5千円(諸手当含む)×12ヶ月+ボーナス(月給4.3ヶ月分)

この場合は平均年収は約579万円です。(平均年齢37歳/さいたま市の場合)

製薬会社勤務の場合の獣医の年収

年収:600万円~800万円程度

勤務先の規模や経営状況、研究内容によって異なりますが、一般的に給料は高額と言えるでしょう。

契約社員の場合の獣医の年収(動物病院勤務)

年収 :200万円~

子どもがいる人や自分の生活スタイルに合わせた仕事がしたい人には、契約社員として働く選択肢もあります。

休みや出勤スタイルも自分で決めやすくフレキシブルに働けるのがメリットです。

週1回からの仕事でもOKという勤務先もあります。

パート・アルバイト獣医の場合の獣医の年収(動物病院勤務)

180万円~(月9日、1回6時間強勤務の場合)

求人情報の多くが時給1,500円~2,500円でパートの獣医を募集しています。

令和元年の政府の統計によると、パート獣医師の平均時給(男女)は、2,666円でした。

1日あたりの平均労働時間は6.3時間、月の実労働日数は8.8日でした。

短時間労働者の年収平均は181万6千円になります(2,666x6.3x8.8x12ヶ月+42,800(年間賞与・特別手当)。

日数から見ると副業または掛け持ちをしていると考えられますが、月に9日程度の出勤で約180万円支給されることが分かります(企業規模:10人以上/令和元年賃金構造基本統計調査より)。

獣医は、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?

動物病院勤務の場合の最高の年収額は約1000万円です。

年収の高い動物病院では、高度な医療技術や特別な手術ができる敏腕な獣医師を求めています。

難しい治療や専門的な手術をすることのできる人材には、人の医者並みの給料が支払われるということです。

また、独立し開業医として成功した場合は1000万円~2000万円の収入を得ることもできますが、動物病院が飽和状態の現在では高収入を稼ぐ開業医はあまり多くありません。

自由診療(診察料金を動物病院が各自で決める)で収入を得る開業医は、景気の波に左右されることがあります。

景気が悪くなり収入が減った場合には、ペットに高額な治療費を払うことのできない飼い主が増えることもあるからです。

獣医はどういった勤務先だと年収が高くなるか?

高収入で安定した勤務先と言えば「国家公務員」が一番に挙げられます。

動物病院で働くよりも、大手製薬会社や医薬関連の会社で研究者として働く場合や自分で開業する場合は年収も高くなります。

国家公務員として働く場合の年収

年収:~1000万円

農林水産省や厚生労働省で総合職として働く場合は、40代で600万円~700万円の年収を確保することができます。

総合職でキャリアアップした場合は年収1000万以上を貰うこともできます。

国家公務員は最難関でもあるため、省庁で働くことを視野に入れている人は早めの準備が必要です。

大手製薬会社で働く場合の年収

年収:600万円~800万円

製薬会社では新薬を開発する過程で動物を使った安全性の試験、毒性試験を行います。

その際に獣医師が必要となるため、獣医師は製薬会社の研究者として重宝されます。

また、がん原性試験やバイオ医薬品の分野でも獣医師の存在は欠かせません。

独立・開業した場合の年収

年収:500万円未満~1000万円以上

動物病院で一定期間経験を積み、自分の理想とするクリニックを作るために独立・開業をする場合は、最初の3年間程は赤字になることを覚悟して臨まなくてはなりません。

設備投資にはまとまった資金が必要になる上、最初の数年は顧客が付きにくいからです。

開業を目指す場合は、動物病院勤務の間に専門知識を更に身につけ、勉強会や学界に参加する、専門の技術を磨く等してスキルアップを身につけましょう。

JRA

JRAの獣医職には、競走馬の病気や怪我を治療する「臨床獣医職」と競走馬全般の調査・研究に携わる「研究職」があります。

平成31年(令和元年)の初任給は24万9千円でした。

募集人数は例年5名~6名なので、採用を勝ち取るのは非常に難しいことが分かります。

日本中央競馬会の「役職員の給与・報酬」

平成26年度の獣医師職(常勤職員)の平均給与額は1078万円でした(職員数:124人、平均年齢:42.6歳)。

これから獣医になる人へのアドバイス

獣医師への道は非常に狭き門です。

大学の獣医学部は志願者数に対し、入学募集の数が極端に少ない学部の一つです。

そして3.8倍~30倍もの倍率の中から大学受験を勝ち抜き、獣医系大学で6年間の勉強をする必要があります。

その上で獣医師国家資格に合格した者だけが「獣医」になれるのです。

獣医の年収は勤務先により大きく異なりますが、全体的に年収は同年代の平均年収よりやや高めです。

職場によっては時間外労働が多かったり激務のところもあるため、就職先選びは慎重に行う必要があります。

給与の額面だけを見るのではなく、福利厚生や諸手当も必ず確認するようにしましょう。

さいごに

一言で「獣医」と言っても、その働き方は多岐に及びます。

自分が目指す働き方を「自己分析」できちんと見極め、目指す就職先に合わせた準備を早めに行いましょう。

獣医になってからも日々の勉強は必要です。

信頼される獣医師になるために自己研鑽に努めましょう。

最終更新日:2020年4月17日

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