DTPデザイナーの年収を徹底解説|給料・初任給手取り・賞与(ボーナス)・各種手当
日常で生活している中で意識をして周囲を見渡すと、様々な印刷物に取り囲まれていることに気がつきます。
「DTPデザイナー」は主に印刷物に関わる仕事をしています。
一からデザインを創造し、印刷するための前段階のデザインデータ制作するまでが仕事になります。
現在DTPデザイナーを取り巻く環境は良いとは言えない状況にあります。
以前は印刷会社や広告会社に依頼をして行っていた業務についても、自社で簡単に制作できるソフトやサービスが生まれていたり、低価格でフリーランスのデザイナーに依頼をすることができる仕組みが生まれているために、仕事の単価が下がっていることが要因です。
DTPデザイナーの平均年収は350万円前後が相場
DTPデザイナーの平均年収は300万円~400万円の間を推移しています。
DTPデザイナーは一般的には印刷業界に分類されています。
一昔前は広告や書籍などは印刷物がほとんどを占めておりましたが、メディアの消費者は印刷に変わる印刷業界は年々縮小傾向になっているために、現状の年収は一般企業に比べると低く推移しています。
またDTPデザイナーになるためには以前は様々なスキルが必要でしたが、現在ではAdobe社が提供しているPhotoshop、Illustrator、InDesignなどのグラフィックソフトを扱うことができれば仕事に就くことができるようになったために、比較的門戸が広い職種になりました。
DTPデザイナーの年収・給料の構成要素
DTPデザイナーの年収は、「基本給」「能力給」「固定残業代」「ボーナス」の構成になっている場合が多いです。
基本給・能力給はどれくらい?
基本給は月に万の15万円~20万円の範囲が一般的になっています。
基本給についても実務経験の面が大きな査定ポイントになりますので、若い内はなかなか給料が上がりづらい面があります。
社会人経験がある程度あったとしても、実務経験年数が浅い場合には基本給は低く設定されてしまいます。
能力給は3,000円〜2万円程度の範囲で支給されます。
能力給については勤続年数に伴って上がる場合と、DTPデザインのスキルやディレクションができる面などで評価され、支給されることが一般的です。
同じ会社に長くいたとしても請け負っている業務の内容によって収益の面で限界があるため、昇給は難しい場合も多くあります。
もちろんある程度の期間勤めながら成果を出すことで昇給を目指すのも良いでしょう。
または、ある程度の能力やスキルを身につけた後に、より条件の良い会社に転職をすることで、収入が増えたという方もいらっしゃいます。
自分に合った方法で収入アップを目指していきましょう。
賞与(ボーナス)はどれくらい?
賞与は、夏と冬の年に2回の支給が一般的です。
月給の1ヶ月から3ヶ月程度の支給になります。
業務の結果によってはより多く支給されることもあります。
追加の受注を受けたり、重版などの成果が評価されるなどして、ボーナスに反映されたり臨時のボーナスとして支給される例もあります。
各種手当てはどういったものがある?
固定残業代
自分が所属する部署や仕事によって異なりますが、DTPの仕事は常に仕事の受注件数や締め切りに終われることが普通です。
昔よりは改善されてきましたが、まだまだ残業が常態化していることがほどんどです。
近年では固定残業手当が3万円〜4万円程度加算されています。
企業によっては基本給に含まれていることがあるために、会社の業績によって変動する場合もあるので注意が必要です。
通勤手当
通勤手当に関しては、通勤距離によって数万円〜全支給となります。
DTPデザインにおいては、現在パソコンさえあれば行うことができます。
しかし実際には職場に行かなければできないことがあります。
特にDTPは最終的には印刷することから、最終的な印刷物の色合いを再現できる印刷機でなければ確認できないことがあったり、当然のことながら企業に所属する場合には秘密保持の面から会社内に設置されたDTPに特化した専用のパソコンを利用して仕事を行うことになります。
その場合、通勤した分だけ支給されることがほとんどです。
DTPデザイナーの年収を新卒や雇用形態別に見る
ここではDTPデザイナーの年収を新卒や雇用形態別に違いを見ていきたいと思います。
新卒の場合のDTPデザイナーの年収
年収ベースで250万円〜300万円程度になります。
各専門学校や美術大学を卒業した場合でも、実務経験は0からのスタートがほとんどですので、スタート時は一般企業よりも低い水準での採用となるでしょう。
初めの内は印刷までの工程を学び、クライアントの要望を取り込みながらデザインすることを学んだり、印刷するためのデザインデータの制作ができるようにならなければなりません。
その後は各個人の能力によって給与の上がり幅も変わってきます。
その人にしかできない表現方法やアイデアを形にする能力がなければ年収アップはあまり望めないでしょう。
社会人が転職する場合のDTPデザイナーの年収(正社員)
DTPデザイナーにおいては、実務経験がない場合には新卒の基準とほとんど変わりません。
転職の場合には必ずと言っていいほどに、グラフィックソフトウェアが使用できるかどうかが最低限の条件となっています。
更に、ある程度の年数実務経験がある方は優遇されます。
年収ベースでおよそ400万円程度~と通常よりも高い収入を得ることができるでしょう。
また、ディレクターの経験がある場合や、これまでに関わったプロジェクトの内容によってはによっては、年収ベースで500万円〜600万円以上となり、会社の業務の大半を任されることもあります。
何れにおいても、企業が必要としている能力に見合っている、またはそれ以上の能力を持っている場合には高待遇の条件で迎えられるでしょう。
派遣の場合のDTPデザイナーの年収
フルタイムの条件であれば、年収ベースでも正社員と同等に300万円〜350万円程度の年収を得ることができます。
派遣社員の場合には即戦力の人材がより求められます。
実務経験がなければ難しい面がありますので、数年以上の実務経験が必要とされていることが殆どです。
仕事の内容についてはあまり裁量を与えられないので、特定の業務に専従することになるでしょう。
しかし、企業によっては、一般のデザイナーと同様に業務を任されることもあります。
必ずチェックしたい部分は、福利厚生や各種手当の面です。
正社員と比べて差がある、仕事の有無によって給料に変動があったり期間が区切られていることが多いので、その辺りはきちんと確認しておきましょう。
DTPデザイナーでは、最高でどれくらいの年収まで目指せるか?
純粋にDTPデザイナーとして、最高の年収を目指した場合には600万円前後が上限ではないでしょうか。
DTPデザイナーは企画や営業部の意向にそって仕事を進めていくために、DTPデザインだけを行っていたのではそれほど年収は上がらないのが現実です。
現場にてDTPデザインからスタートし、そこからプロジェクトをまとめるプロジェクトリーダー・ディレクター業務に始まり、現場やデザイナーの管理業務へとステップアップいくことで年収をアップさせることができるでしょう。
更に、クライアントであるお客様や協力会社様との交渉折衝など、幅広い業務をこなすことで年収は1,000万円を超えることもできます。
DTPデザイナーではどういった勤務先だと年収が高くなるか?
前述した通り、年収アップのためにはDTPデザイン以外の業務に関わることが必要なので、様々な仕事に関われる会社を選ぶ必要があります。
DTPデザイナーが多く務める印刷会社はあまりおすすめできません。
主に広告代理店や出版社など自社に競争力の高いメディアを持っていて、安定的に収益の柱を持っている会社は筆頭になるでしょう。
大規模なプロジェクトを企画・制作から、印刷・プロモーションまで一貫して請負することができる会社では、年収のアップも望めるでしょう。
その他には大手自動車、建築、食品などのメーカーのグループ内の専門職として働くことで、印刷会社に務めるよりも年収が高くなる場合があります。DTPデザイン以外の業務に携われることで、自身のスキルや能力を向上させることが自身の収入を上げる近道と言えるでしょう。
印刷会社で働く場合の年収
年収ベースで300万円〜500万円程度となります。
DTPの仕事と聞くと、必ず出てくるのが印刷会社になります。
地方の中小の印刷会社であれば、主な仕事として地元企業が提供している商品に関わる印刷物を担当したり、官公庁の印刷物を受注しています。
大手企業であれば大規模な印刷工場を有していることが多く、自社でデザインを行うことの他に、受注した仕事の最終データチェックと、印刷機器に落とし込むためのデータの変換などの仕事があります。
資材メーカーで働く場合の年収
年収ベースで300万円〜500万円程度となります。
印刷するための紙や包装資材などを提供している会社です。
資材メーカーにも原紙を扱っている大元のメーカーから、各原紙メーカーから仕入れた材料を提供するいわゆる問屋の役割を担っている会社もあります。資材メーカー自身でデザイン部門を配置していることが多く、DTPデザイナーにも活躍の場があります。
取引先様の資材の選定からデザインまでを行ったり、新しく開発された資材をなどを提案する仕事を行っています。
広告代理店で働く場合の年収
年収ベースで550万円〜650万円程度となります。
大手広告代理店であれば、年収1,000万円を超える年収を得ることも可能です。
広告代理店では残業が常態化していることが殆どです。
お客様からの要望に合わせて動くことが多いため、その対応に割く労力がかなり増えます。
その反面、様々な業種からの仕事を請け負うことができたり、大きなプロジェクトに関わることができるなど、スキルアップできる環境が整っています。DTPデザイナーからスタートした後に、そこから様々な仕事に挑戦できる土壌があります。
もちろん、競争も激しいですしプレッシャーも多くあるかもしれません。
それらを勘案した上でもも自らに磨きをかけるには最高の環境でしょう。
出版社で働く場合の年収
年収ベース400万円〜600万円程度になります。
こちらも大手出版社であれば1,000万円を超える年収を手にしている方もいます。
出版社の中でもDTPデザイナーは編集部に身を置くことが通例となっていますが、社内でも一番多忙であり残業も多くなります。
仕事の例を挙げると、自社で刊行している雑誌の編集があります。
編集長の元、ライターやカメラマンが用意した素材をデザインデータ上に落とし込んでいきます。
ただ制作すれば良いわけではなく、購読者に伝わるものであったり世界観に引き込むような表現をしたり、とデザイナーのセンスが問われます。
印刷に落とし込むためにレイアウトや色合いなどを訂正・修正を行いながら最終的な形にしていきます。
時には印刷の直前に修正が必要になり対応に追われることもありますが、締め切りは変えることはできません。
文字要素も多いために誤字脱字についても細心の注意が必要になります。
デザイン事務所
年収ベースで250万円〜600万円程度になります。
アシスタントからスタートする場合には、収入の面で魅力は感じないかもしれません。
求人に関してもDTPデザイナーとしても募集していますが「DTPデザイナー」という枠だけでの仕事は殆どなくなってきています。
DTPデザインのような紙面上の印刷に限らず、商品パッケージ設計からデザインを行うことができたり、Webデザインができること、能力としては設計、カメラマン、ライターの能力など総合的なスキルや能力が求められています。
その他メーカー
年収ベースで350万円〜500万円程度になります。
印刷業界以外でもDTPデザイナーを募集しています。
自社でデザインを行うことで大幅にコストを下げることができるとともに、各種デザインについても融通をきかせられることから、一般企業がデザイナーを抱えることが増えてきています。
給料に関しては各業界の水準に近くなります。
しかし、中小企業においてはデザインに関しての全権を任される、ディレクションをお願いされる、など高待遇での求人もあるので、探してみるのも良いかもしれません。
自動車関連メーカー
自社の商品に付随する取扱説明書、パンフレットなどの制作が主な仕事になります。
プロモーションに関する部署であれば、宣伝・広告に関する各種広告やチラシなどの制作を行います。
まだまだ印刷物を多く使用しているため、安定しています。
車に興味を持っている人にはぴったりの仕事と言えます。
食品メーカー
自社商品の販促用チラシやパンフレット、店頭で利用する什器などの制作を行います。
また紙媒体以外では、商品のパッケージデザインの制作を行うことができます。
パッケージデザインについては、DTPデザインにおいて付加価値を持たせられるスキルであるため、ステップアップの機会にも繋がります。
企業によっては、かなり自由な環境で業務を行えるという点も魅力があるようです。
その反面、一人でデザイン関係の全てを担うことになるために、ある程度、自身でスケジュール管理などができることが求められます。
これからDTPデザイナーになる人へのアドバイス
DTPデザイナーを目指すのなら、まずはどんな条件の求人でも良いので実務経験を重ねること。
それに加えて、DTPデザインだけでなく他の分野の業務ができるとさらに活躍できる場が広がります。
どこの企業にするかなど迷っているようであれば自分の身近な求人を探し、まずは積極的に動いてみましょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
正直に言えばDTPデザイナーを取りまく環境はあまり良くありません。
しかし同時に、成り手も減っているために需要はあります。
この記事が、DTPデザイナーを目指している方、現在DTPデザイナーとして現役で働いている方の助けになれば幸いです。
最終更新日:2019年8月7日